ラッパの音が聞こえる。
遠いところから、右ななめ後方から、さらに左前方からも、
ブーブー、ブーブー。
同じ音が、あちこちから聞こえてくるひとつの音階がたがいに重なりあって、
雲ひとつない青空の、ずっとずっと高い透明なところまで突きぬけていく。
歓声。
大地が揺れる。
高まる鼓動の渦のなか、ひとびとの足がついに10cmずつ浮き上がりだした。
スモークの煙があちらからも、こちらからも焚かれる。
いよいよ、あの人があらわれるのだ。
ついに、そのとき。
すべてが黄色い世界の神さまの名を口にする。
生まれてはじめて耳にする絶叫。
これは自分の声?
あたまが痺れる。